荒野の少年イサム

ogawamachi2006-05-04

 たまったコミックを売りに行った帰り、古本屋にて懐かしい川崎のぼる・画/山川惚治・原作「荒野の少年イサム」全巻揃いを買う。週刊少年ジャンプ連載時に読んでいたのだが、当時最終回まで読んだ記憶がない。ラストはどうなったのだろう、と気になっていた漫画ではある。で、さっそく読んでみました。
 日本の武士とインディアンの娘の間に生まれたイサムが父親と生き別れ(母親はイサムを産んでまもなく病死)、アウトローのウインゲート親子に育てられたのは、おいらと同じ世代にはご存じのとおり。その後、銀行襲撃に際し、イサムだけが捕らえられ入牢。縛り首かと思われたが、イサムが実際には悪事に手を染めていなかったことから無罪をいい渡される。大牧場を経営するモリソンのもとに身を寄せたイサムはそこでカウボーイとして働きながら、モリソンの一人娘クララに恋愛感情を抱くようになる。と、ここまでは大体の方が覚えておられるだろう。おいらの知らなかったのはここから先。
 ウインゲート親子はモリソン牧場から金をせしめようとし、イサムに手引きさせようとする。が、逆に阻止されてしまい、ウインゲート親子はイサムを殺すためにつけ狙うようになる。その頃、モリソン牧場にはクララの幼なじみで、いいなづけのジョーカーという男が現れる。ジョーカーは銃も馬もイサムと同程度の技量の持ち主。二人はクララをめぐって争うが、男同士の友情も芽生える。そんなある日、クララがウインゲート親子にさらわれてしまった。イサムとジョーカーはそのあとを追うが、ジョーカーはイサムの身代わりになってウインゲート親子に撃たれてしまう。
 決戦の場は、ウインゲート親子に拾われる前、イサムが育ったロッテン・キャンプの町。ここでイサムはウインゲート親子を倒し、クララを救出。町にただ一人残っていたプリルじいさんと再会し、つぎに父親を探す旅に出る、というのが結末。
 ウインゲート親子との対決の前には黒人アウトローのビッグ・ストーンとの決闘があるのだけれど、おいらにはここが一番の山場でしたね。なにせビッグ・ストーンはイサムの父親・渡勝之進を助け、赤ん坊だったイサムを知る存在。イサムも時々現れるビッグ・ストーンを兄のように慕っていたのだから、この決闘の結末は哀れすぎる。イサム、お前はクララも手にし、父親をさがすという目標も持てたからいいけれど、母親の仇であるウインゲート親子を撃てずに死んだビッグ・ストーンはやりきれんよ。(ちなみに、アニメ版の細部と結末は、漫画版と違うようです)
 でもまあ、西部劇の漫画というのは現在ないだけに、日本の武士によるウエスタンというアイデアはまだまだ生かせるのではと思った次第。映画ではありますがね。最近は新しい作品ばかり読んでいましたが、やはりクラシックもいいものです。