原爆

 昨晩寝る前に、こうの史代夕凪の街 桜の国」(双葉社)を読了。以前から読みたいと思っていたのを、ブック○フで半額・帯付きだったから買ったもの。しかし、古本で待たずとも、新刊で買うべき良い漫画でした。ちょっぴり反省。俺らオールド漫画ファンには、滝田ゆうの影響がすぐさま見て取れる絵柄なのだが、亜流にとどまらない描写と、画面構成が素晴らしい。100ページに満たない分量にもかかわらず、読後の満足感はそれ以上。ストーリーも文句なしですね。見事というほかなし。拙者、巻頭から目頭が熱くなりっぱなしでした。眠りにつきながら、叔父さんが長崎の造船所に動員されていたとき被爆したという話を思いだし、自分も原爆とはまったく無縁ではないことを改めて胸に刻みこむ(ちなみにもう一人の伯父さんは南方で戦死)。こうした戦争の話はいずれ息子にも話してやろうとも思うが、軍事オタクである息子は別の意味で食いついてくるかもしれない(苦笑)。ところで、「凪」という字は姿がいいですね。好きな漢字のひとつ。浅川マキに「夕凪のとき」という歌があるけれど、これも良い歌でした。


夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)