ムーチョ・モージョ

 ランズデール作品の2冊目に選んだのは「ムーチョ・モージョ」。ゲイの黒人レナードと、のんけ(ストレート)の白人ハップの陽性下品コンビが殺人事件の真相を追うシリーズ第二作目(シリーズ一作目は未訳)。叔父が死んで遺産が転がり込んだレナードだったが、その叔父には幼児姦と殺人の嫌疑がかかっていた。叔父の遺留品を手がかりに、親友のハップとともに独自の捜査を始める二人だったが、ハップは黒人の美人弁護士の尻を追っかけ回すし、レナードは麻薬の売人の家に放火するしで、トラブルばかりが持ち上がるのだった……。
 舞台は「凍てついた七月」と同じくテキサス東部の小さな街ラボードだが、黒人コミュニティーが舞台だけに殺伐とした雰囲気はこの作品のほうが濃厚。事件の真相も閉鎖的な社会の盲点をついた陰にあり、なんとも嫌な気分にさせてくれます。


ムーチョ・モージョ (角川文庫)