小人閑居して不善をなす。俺?

 週末から今日まで3冊を読む。完全に現実逃避モード。まずいなぁ。って、他人事のように語るのも問題なのだが。小人閑居して不善をなす、とはよく言ったもの。まさに俺のためにあるような言葉だが、まず1冊目は奥田英朗「サウスバウンド」(角川書店)。小学六年生の主人公・上原二郎の目を通して描かれた社会と家族のありようをめぐる物語なのだが、いやぁ、面白かった。二部構成になっている前半は、二郎がしつこく絡んでくる不良中学生を撃退するまでの成長物語。後半は、元過激派の父・一朗のおかげで東京にいられなくなった上原一家が、沖縄の西表島に移住してから巻き込まれたトラブルから脱出するまでが描かれる。東京にいたころは、仕事もしないでぶらぶらしている父親だったが、西表島に移住してからは一変。畑仕事や漁に精を出し、リゾートホテル建設を計画する不動産業者とは丁々発止とやりあい、一躍お茶の間のヒーローに。一部と二部で父親像はがらりと変わり、うざいオヤジからかっこいいお父さんに変身するところなど、作者にうまいこと乗せられたなぁ、と分かっちゃいるがドキドキさせられました。一部の東京編もいいが、俺は二部の西表島編のほうがより好きだなぁ。


サウス・バウンド


 二冊目は三浦しをんのエッセイ集「人生激場」←”激”に注目(新潮社)。お得意の妄想炸裂で、男の胸毛を熱く語ったかと思えば、自らの失敗談(便器にはまった、沖縄の海で男に胸パッドを見せてしまったなど)を暴露、おばあちゃんには昔の避妊具事情を根掘り葉掘り聞いたりと、その尾籠っぷりに頭が下がります。俺は完全に三浦しをんのエッセイ中毒になりました。


人生激場


 三冊目は小林信彦「昭和が遠くなって〜本音を申せば」(文芸春秋)。この本で、週刊文春連載のエッセイ集も9冊目だとか。ほぼ読んでいると思うのだが、いずれ、「地獄の読書録」や「地獄の映画館」のように2段組の本に編集しなおしてくれないかなぁ。これを読んで見たくなった映画が多数あった。


昭和が遠くなって―本音を申せば