この世界の片隅に

 このところの寒さやもろもろの考え事で思考停止状態。俺、やっぱり冬眠が必要? 春が待ち遠しいこの頃ですが、つい最近はこうの史代の新刊「この世界の片隅に」上巻(アクションコミックス)を読了。太平洋戦争末期の広島が舞台。主人公のすずは、幼い日に一度会っただけの周作にみそめられ、広島から呉へと嫁いでいく。子供の頃からうすぼんやりした性格がわざわいし、義姉からは疎んじられるすすだが、周作や義父母は優しく、見知らぬ街に少しずつなじんでいく……。こうの史代の描く女の子はかわいいなぁと思っているのだが、本作のすずはこれまでで一番かも。ぼんくら加減が絶妙で、頁を何度も繰り返し見たくなる。しかし、時代は昭和19年末。次の巻では呉への空襲や、広島への原爆投下が描かれるはずで、読む前から切ない予感がひしひし。すずに不幸が降りかかりませんようにと祈りたくなってくる。でも、何かを失うのは必至なんだろうなぁ。あぁ。


この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)