悪果

 長かったDモンド社の仕事も今日で一段落。本日で初校を戻し終わり、次は再校の出を待つばかり。修正が少なければよいのだが。今月から毎日通っている神保町での仕事も、一昨日でまず1冊を入稿。残り1冊の入稿に向けてもうひとふんばりだ。それが終わると、ふたたびDモンド社での別件の仕事、N文芸社での入稿が2冊控えており、今年前半の仕事の無さっぷり加減は何だったのかというくらい、年末まであんまり休んでられない。「流れ」というのはほんとわからないですな。
 そんな中で読んでいたのは、黒川博行「悪果」(角川書店)。大阪府警所轄のマル暴担当刑事を主人公にした、真っ黒なノワール。初期のとぼけた黒まめコンビからはじまり、疫病神での建設コンサルタントとヤクザの凹凸コンビまではユーモラスな風味が持ち味なのだが、今回のマル暴担当のコンビの描写は徹頭徹尾リアル。「疫病神」「国境」のようなスピーディーかつ起伏に富んだストーリーが好きな人には地味な印象を与えるかもしれないが、モノクロの重苦しい映画を見ているような雰囲気、俺は嫌いじゃないです。淡々と進むストーリーとあいまって、彼らの体温まで伝わってくる。


悪果