少女マンガ2冊

 K沢大のお嬢さんが「少女マンガを読め」といってたくさん貸してくれたので、ありがたく少しずつ読んでいるのです。古い作品、いわゆる定番の作家のものなので、少女マンガが本当に少女マンガらしかった頃の作品。しばらくは温故知新が続きそう。

陸奥A子「ため息の行方」(りぼんマスコットコミックス)

 高校の美術部にいた頃、一年後輩の女の子が好きだった作家が、この陸奥A子大島弓子。当時、何冊か借りて読み、少年マンガばかり読んでた俺は、少女マンガも結構読めるじゃん、と不遜な感想を持ってしまった次第。反省してます。(大島弓子の「綿の国星」は大好きでした)
 いまオヤジになった目で陸奥A子を読むと、汚れた心が洗われるというか、オヤジもまだファンタジーの国で遊べる資格があるんだなと素直に思えました。たしかに出てくる女の子は今でいう不思議ちゃんばかりだし、男の子にしたって、おいおいお前、そんなアプローチの仕方はストーカーだろう! と突っ込みのひとつやふたつは入れたくなってくるけれど、閉じた作品世界のなかではそれもありかなと。男も女も、金、金、金の世の中で、昔の男女はこんなに純粋なものが信じられたんだという良き見本。好きな人ならどっぷりと浸かっていたいメルヘンの世界です。オヤジ、30歳以上は若返ったかも。
(書影がないので、画像は他作品から)


こんぺい荘のフランソワ (陸奥A子りぼん名作選) (集英社文庫(コミック版))

こんぺい荘のフランソワ (陸奥A子りぼん名作選) (集英社文庫(コミック版))


小椋冬美「パーティーがはじまる」(前後編・りぼんマスコットコミックス)

 陸奥A子より時代は下り、同じりぼん掲載作品とはいえ、こちらはかなり現代チック。当時はスタイリッシュな画風という評価だったんだろうな。男の子のファッションは当時のトレンドでいうDCブランド系。本人が好きなのかどうかはわからなけど、小椋冬美の描く男の子ってストレイ・キャッツのブライアン・セッツアーに似てるんだよなぁ。で、男の子キャラの性格設定はというと、他人への干渉を嫌う傍観者。女の子は決して恋愛主情主義というわけではない、アンニュイ(死語?)な雰囲気を漂わせているお洒落さん。こんな二人が少しずつ近づいていく様子が繊細な手つきで描写されるのが小椋作品の特徴なんだと思うのだが、とにかくストーリー作りのうまい人なので、さらっと気持ちよく読めてしまう。それでいて、淡白さのなかのコクというか、ハートに少し刺さるものもあったりして。とにかく空気感というか、それが絶妙。少女マンガの奥深さをオヤジも思い知りました。
(書影がないので、画像は他作品から。この「リップスティック・グラフィティ」もおすすめ)