さびしいけど素敵
通勤時間のみの読書で保坂和志「残響」(中公文庫)をようやく読了。薄い本なのに、1週間はかかっているかも。収録作の「コーリング」「残響」とも、主人公が継ぎ目なく変わってゆくという特異な構成。保坂和志自身が、“「自分について語る(評価する)自分」というものの客観的な正否の定めがたさ”と言うとおりの小説で、登場する20〜30代の男女は、過去に同じ会社などで接点のある人物なのだが、それぞれの思いは決して交わることなく、残響のように空間に響いては消えてゆくのみという、読んでてさびしくなってくる小説。「プレーンソング」から続く一連の作品とはかなり肌触りが違うが、俺はこの二作は非常に良いと思う。「孤独」についてこんな書き方があったんですね。
- 作者: 保坂和志
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/11/01
- メディア: 文庫
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