復讐はお好き?

 夜、カール・ハイアセン「復讐はお好き?」(文春文庫)読み終える。テンポの良い、コミカルなサスペンス。結婚記念の船旅中、夫チャズから海に突き落とされた妻ジョーイ。元検察局捜査官の助けで急死に一生を得、憎い夫に復讐を仕掛けていくというストーリー。夫のチャズが性欲だけが旺盛のろくでなし、農場経営者の御用生物学者で環境破壊に加担しているというキャラクターなのだが、腕力でもジョーイにかなわないというへなちょこ。これが、死んだものと思っているジョーイの悪戯にビビりまくるというのがおかしい。水質汚染の不正が明るみに出るのを防ぐため、ずるく立ち回ろうとするのだが、そのことどくが失敗。墓の十字架を集めてまわる用心棒、ニシキヘビをペットにしている刑事など、脇役もユニーク。500ページ以上ある本だけど、リーダビリティが優れているので、翻訳小説が苦手な人にもおすすめの1冊。あっというまに読み終えます。ハイアセンは本国では犯罪小説界のマーク・トウェインと言われているそうだけど、他の小説も読みたくなってきた。個人的には、この小説、ウォーレン・ジヴォンに献辞が捧げられているのが嬉しかった。調べると交友関係にあったそう。


復讐はお好き? (文春文庫)

復讐はお好き? (文春文庫)