今日も黒川

 今晩も読書は黒川博行大阪府警捜査一課(殺人・強盗班)の刑事を主人公にした黒マメコンビの第二作「雨に殺せば」(創元推理文庫)。現金輸送車の襲撃、それに続く連続殺人事件。背景には悪徳美術商、銀行、サラ金が絡むという、デビュー作「二度のお別れ」よりプロットも複雑ならば、エンターテインメント性も増した強力な一冊。登場人物にも、黒さんこと黒木刑事が住むマンション1階に喫茶店を開いている美人ママ(お互い、それといわずとも惹かれあってるというのも常道ながらいい設定ですね)、黒木と亀田刑事(マメちゃん)の捜査に協力する捜査二課(経済・知能犯担当)のベテラン刑事・岡崎など、脇を固める人物の造形など、これがデビュー二作目かよ、というくらい小説の作り方がうまい。1984年、サントリーミステリー大賞の佳作を受賞し、単行本刊行は1985年(ちなみに、同年の大賞は由良三郎「運命交響曲殺人事件」)。バブル崩壊以前、銀行とサラ金の裏側をあぶりだしている先見性も特筆もの。もちろん、読後も非常に満足。


雨に殺せば (創元推理文庫)