J・Jおじさん

 このところ寝付けなくなることが多く、昨晩も朝方まで布団のなかでまんじりともしないで過ごす。どうしようもないので音楽でも聴くかと、追悼の気持ちで植木等の「植木等的音楽」(大瀧詠一プロデュース)をかけるが、ポータブルプレイヤーの調子が悪くて断念。かわりに読みかけだった植草甚一スクラップブック別巻「植草甚一の研究」(晶文社)を結局全部読んでしまう。1冊通して植草甚一の文章を読むのは学生時代以来。いま改めて読むと融通無碍な文章に驚かされる。また、手書きの原稿が数ページ分掲載されているのだが、その字が本当にいい。J・Jおじさんの字はこうでなくっちゃという形をしているのが見事。この本は半分はスクラップブック全40巻にもれた未収録エッセイと、半分は解説者諸氏の書き下ろし植草論から成っているのだが、なかでも山田宏一植草甚一の映画の見方を論じた文章で、氏を「永遠に欲求不満の好事家」としているのにはナルホドと頷かされた。スクラップブックにはまだ読みたい本が数冊あるので、ちょっと探してみるかな。


植草甚一の研究 (植草甚一スクラップ・ブック)