段六肉四、人三化七

 中国での段ボール入り肉まん事件。ニュースを聞いて久しぶりに笑っちゃったんですが、段ボールの混入割合が6で、肉が4というのだからすごい。ここまでくるとブラックジョーク。このあんでハンバーグを作ったなら、それはもう「ダンボーグ」といっていい代物かも。中国では以前にも山をペンキで緑に塗ったり、著作権無視のディズニーそっくり遊園地などが話題になったけれど、ある意味次は何がくるか目が離せません。
 さて、今晩読んだのは中国からはるか昔の江戸へ飛んで、杉浦日向子百日紅」(ちくま文庫・上下巻)。葛飾北斎と娘のお栄(葛飾応為)、弟子の英泉らを中心に、江戸の暮らしや風俗が描かれた作品。恥ずかしながら杉浦日向子の作品をちゃんと読んだのはこれが初めて。が、いやぁ、感心しました、面白い。登場人物の会話も、当時の江戸市民はこんなしゃべり方をしたんだろうかという江戸弁で、怪談あり、人情話あり、痴話話ありの飽きさせない構成。さらにこれを読んで、北斎の娘の応為にも俄然興味が出てしまった。ウェブにアップされているいくつかの応為の絵を見ると、これが素晴らしいの一言。父親の影に隠れているけど、この時代の天才の一人ですね。ついひと月ほど前、仕事で浮世絵のことを調べていたのだけれど、もっと早くこの本を読めばよかった。
 ちなみに作品中、北斎が娘のお栄の容姿を「化十」と評しているけれど、これは見目の良くない娘を「人三化七」と言っていたものをさらく悪く言ったもの。人が3、化け物が7って、前記の肉まんよりさらにひどいのか……。昔の人は口も悪いなぁ。


百日紅 (上) (ちくま文庫)