三十路の女

 偶然、女性の三十路についての本を2冊続けて読む(偶然というのは、ブックオフでどちらも105円で買ったため。俺の読書はすべて購入金額に優先するのです)。1冊目は奥田英朗「ガール」(講談社)。収録されている短編は5つ。課長に抜擢された女性、結婚かマンション購入かに悩む女性、年相応に生きるべきか華やかなりし20代の頃が忘れられない女性、仕事と子育ての両立に頑張らざるを得ない女性、年下の新入社員に心ときめかせる女性、の5人の30代が主人公。よくできたドラマを見るように奥田英朗の筆は達者で、どの物語も笑わせていただきました。奥田作品で「邪魔」「最悪」が好きな俺は、「空中ブランコ」の伊良部がどうしても漫画家の山上たつひこ作品(たとえば半田溶助など)のキャラクターとイメージがだぶって今イチのれなかったのだけど、肩の力が抜けた「ガール」は○。


ガール


 もう1冊は伊藤理佐「チューネン娘」第1巻(祥伝社)。30代中盤の女性を主人公にした「ガール」に対し、こちらは30歳になったばかりの零細企業勤務の女性が主人公の漫画。伊藤理佐の漫画だから、身も蓋もない下品話満載。それが男性読者には嬉しいのだが、生理的にこういう表現を嫌う女性読者はいるんだろうな。でも、ところどころに淋しい風が吹くようなナイーブさもあるのが伊藤理佐。しんみりする場面がまたいいんですよ。


チューネン娘。 1 (Feelコミックス)