僕たちの戦争

 仕事がうまくいかず、今日は早々に終了。気分転換に、荻原浩僕たちの戦争」(双葉文庫)を読む。平成時代のフリーター・尾島健太と、太平洋戦争末期の航空隊練習生・石庭吾一がタイムスリップによって入れ替わる。瓜二つだった2人は、別々の時代を生きざるを得なくなるのだが、現代っ子に軍隊の生活は厳しく、軍国青年に戦後日本は物質まみれで精神に変調をきたすほど。そのうち、健太は特攻隊に加えられ、人間魚雷回天に乗るはめになるのだが、一方の吾一は健太の恋人・ミナミと親密になっていく……。違う時代に放り込まれた人間がどう行動し、何を考えるのか、読み手の期待を裏切ることなく、荻原浩の筆は2人のその後をユーモラスに綴っていく。2人がそれぞれの時代に帰れるかどうかは触れられないけど、切なさ、ほろ苦さもたっぷりの青春小説でした。満足。


僕たちの戦争 (双葉文庫)