守り人短編集

 お休み最後の本は、上橋菜穂子「流れ行く者 守り人短編集」(偕成社)。昨年4月に出た本だけど、図書館に行って(児童書コーナーで)発見。いやぁ、嬉しかったなぁ。出ていたのを知らなかったんだから。本書には4編の短編が収録されており、いずれも主人公のバルサの少女時代(13歳)を活写したもの。生意気で、ギラギラした少女のバルサがいい感じです。守り人シリーズはSFで昔からあるヒロイック・ファンタジーに、女剣士を主人公とし、エスニックな舞台を用意したところがミソ。ファンタジーが苦手、でもSFは好き、という人にもぜひ読んでいただきたいです(新潮文庫から続々刊行中)。
 ところで、ファンタジー小説での3人の大御所、荻原規子小野不由美上橋菜穂子の生年は、順に、1959年、1960年、1962年。日本のSF全盛期に思春期を過ごしている世代で、荻原規子コードウェイナー・スミス小野不由美はロジャー・ゼラズニィ上橋菜穂子コニー・ウィリスについて、影響を受けていたり、おすすめの本として挙げていたりする。が、しかし。現在のファンタジーラノベ好きの少年少女がこうした作家を読んでくれるのかなぁと期待すると、そうじゃないところが小説(SF)の衰退なわけで。おじさんはさびしくなってしまうのです。